入浴拒否のある利用者さんにどんな声掛けをしようか工夫する介護職員
介護職員:「〇〇さん、お風呂ご案内します!」
利用者さん:「おれ昨日風呂入ったから今日は入らん」
介:「〇〇さんのためにお風呂いい湯加減にしておきましたよ!」
利:「風呂入ったから今日は入らん」
介:「着替えもタオルも持ってきてるので、お風呂いきましょう!」
利:「しつこいなぁ。入らん!」
介:「とりあえず席立ちましょうか」
利:「風呂は行かん!」
時間を置いて、再度声をかけに行きましたが、結局お風呂には入ってもらえませんでした。
無理やり案内したところでね、次回から余計に風呂に対して警戒心が強くなってしまうだけですからね。
利用者さんが入浴介助を拒否する理由
そもそも利用者さんが入浴拒否をする理由ってなんだろうか、
ちょっと考えてみました。
自宅の風呂に入れている
自宅でお風呂に入れているなら、わざわざデイサービスでお風呂に入る必要はないでもんね。
だいたい、本人が入浴を希望しているのではなく、同居しているご家族の要望であることが多い。本人からしたら「家で入っているから、わざわざ何でここで入らなきゃいけない」となるわけですね。
風呂に入ると疲れる
単純に、風呂に入ることがしんどい。
服を脱いだり・着たりすることが面倒だったり、入浴して心拍数が上がると息切れしたりするので、疲れるから入りたくないという理由です。
介護されたくない
介護職員はいろいろとやってしまいがちです。
服を脱ぐのを手伝ったり、体を洗ったりやたらと声をかけてきたり。そういったことが鬱陶しいのでしょう。
自分でできることを手伝われると、自分ができない人みたいに感じてしまうようで、いやなんでしょうね。
見られるのは恥ずかしいから
裸を見られることが恥ずかしいからというのもあります。まぁそりゃ当然ですよね。同性であろうと、恥ずかしいですから。ちなみにぼくは、銭湯でもあんまり好きじゃないです。
とくにリハビリパンツ(成人用おむつ)を履いている姿を見られたくないとか、排泄をして汚してしまっている状態を見られたくないからとか。当然ですよね。
風呂に入ったと思っている
とくに認知症の方です。「自宅でお風呂に入っている」という認識でデイサービスに来られていて「なんでわざわざ自宅以外で風呂に入らなくてはいけないのか」と拒否する方もいます。
他にも色々と理由はあると思いますが、お風呂目当てで来る利用者さんと、風呂が嫌いな利用者さんではっきり分かれます。
さぁ、理由がわかったところで再チャレンジです。
入浴介助に再チャレンジ
よし、今度は声かけに気をつけよう。
まず「風呂」っていう単語を出さないようにして、浴室まではご案内しようと思います。
笑顔で近づく
警戒心を持たれないように、最大限の笑顔で近づくことにしました。
満面の笑みです。利用者さんからしたら、不気味に思うか・何かいいことがあるのかと期待してくれるかもしれません。
第一声に気をつける
「風呂」とか「入浴」とかお風呂に関係あるワードは使わないようにしました。
「ちょっといいですか?」
「ぼくと一緒に来てくれませんか?」
みたいに、目的をぼんやりさせた感じで声をかけていきます。
風呂を言い換え得る
「ちょっとサッパリしにいきましょうか?」
「ぼくの悩みを聞いてほしいんですが、」
「汗を流しにいきましょうか?」
「あちらで〇〇さんが呼んでいましたよ」
ちょっと嘘っぽくなってしまうのですが、まずは席から立ち上がってもらうことが大事。
一度立ち上がってしまえば、お風呂の入り口までは案内できると思ったんです。
美容師になりきった介護職員
「わたし、美容師の見習いをしておりまして、頭を洗う練習をしたいのですが、協力してもらえませんか?」といって、美容師見習いになりきっている介護職員がいました。
「風呂に行きましょう」だと拒否があるのですが、美容師だと不思議と風呂場まで行ってくれるのです。
「あの〜最近の美容室だとお着替えしたり、お湯に浸かったりするので、どうぞ〜」そう言って着替えと入浴をしていました。
いや、嘘つけ!笑
風呂入る美容室がどこにあんねん!
でも、アイデアと工夫の勝利ですね。利用者さんも嫌な感じで風呂に入ってるわけじゃないので、いいと思いました。
脱衣所までこれば何とかなる
なんとか声かけに成功し、脱衣所までこれたならあともう少しです。
まずは脱衣所の椅子に座ってもらいます。そこですかさず、
「〇〇さんのためにお風呂用意しました」
「□□さん、先に風呂に行く」
「腰痛は温めるとよくなりますよ」
「ご家族が着替え用意してくださいましたよ」
「しんどいところはお手伝いするので安心してください」
「お風呂からでたら、ちょうどお昼の時間ですかね」
とにかく強制をしないようにして「お風呂へはいるといいことあるよ!」みたいなことで諭していきます。
介護職員の強引な声掛けは逆効果になる
「家族から入ってこいって言われてる」
「〇〇さんが最後ですよ」
「着替えだけでもしましょう」
とか、介護職員の都合から出る声掛けには、利用者さんは応じてくれない印象ですね。
あくまで、利用者さん本人の気持ちが動くような声掛けが望ましいと思います。
入浴拒否も介護職員の声掛け次第
入浴はサッパリして気持ちいことは、利用者さんはわかっています。
でも、いろんな理由や不安があって拒否してしまうのですね。
相手の気持ちを考えて声掛けすることは簡単ではないですが、声掛けの仕方・案内の仕方で拒否なく入浴していただけるということは、面白いなぁと思います。
それこそ介護職員のセンスが垣間見えるひとコマかもしれません。