新人介護職員が排泄介助に慣れるまで
もう、気がついたら当たり前のようにやっていました。
排泄介助はいつの間にか抵抗なくやれるようになっていました。
ぼくは介護職員として、今の時点(2024年10月)で3年働いています。おそらくひと月も経たないうちに排泄介助は慣れてしまいました。
介護職員として現場に出る前は「排泄介助嫌だなぁ」「排泄介助できるかなぁ」なんて思っていたのですが、やってみるとなんてことはありません。
人間って慣れる生き物ですから。回数を重ねるうちに当たり前になっていきます。
排泄介助ができないと仕事にならない
というか、排泄介助ができなければ介護職員として働くことが難しいです。
ぼくはデイサービスで働いていますが、排泄介助だけでも1日10回以上は介助します。
トイレまで付き添うだけの利用者さんもいれば、トイレの中まで入って行って下着を下ろし排泄物のチェックなどをしなければいけない利用者さんもいます。
排泄介助イコール便の処理ではない
ぼくも最初は、うんちの片付けぐらいに思っていました。
でもその認識はちょと勉強不足で、排尿や排便の回数や量で健康状態を見るのです。
たとえば尿の色が濃ければ、水分量が足りていないとか。
便がゆるければ、胃腸の調子がよくないとか。固ければ便秘しているとか。
そうした観察をする視点が身についてくると、排泄介助は貴重な情報源になりました。
身体状況を確認する
麻痺がある人、足腰が弱ってきている人。
トイレで手すりを持って立ち上がれるかどうかなど、身体状況のチェックもします。
手すりを持って自分で立ち上がれる人は、それほど介助は大変ではありません。
ですが、自分の足で自分の体重を支えられない人は、介護職員が抱えて便座に移動しなければならなかったりします。介護負担が格段に上がります。
ベットで横になって下着を変えるにしても時間がかかったりするので、できればご自身で立ち上がってもらえるように、身体能力は維持したいのです。
そうした身体状況のチェックも排泄介助の時に行います。
排泄介助は介護の基本
排泄介助が上手な人は、他の介護も上手です。
要するに、介護の基本的なことが排泄介助には含まれているということです。
認知症の方の排泄介助の動作
排泄介助で工夫が必要なケースは認知症の方のケアでしょう。
トイレへ案内することから、便座に座って用を足してもらう。そして下着の交換や着衣までをスムーズにこなせることが介護職員の技術だと思っています。
認知症の方をトイレへ案内するとき
認知症の進み方にもよりますが「トイレへ行きたい」という訴えができない方もいます。
また、トイレに行きたいと思っても場所がわからなかったりする方もいます。急に立ち上がって転倒したりするなど、そういったリスクもあります。
なので、排泄の時間や周期をある程度把握しておく必要があります。
たとえば、朝・午前中・昼食後・おやつ後・夕方前など、水分をとった後や食事をした後は、とりあえず「お手洗いよかったですか」と声をかけます。
排泄の欲求がうまく伝えられないかたは、ひとまずトイレまで案内する・トイレに座ってもらうなど、動作で伝えることもします。
トイレの拒否があったとしても
利用者さんの中には「トイレにはいかない!」と怒りを爆発させる方もいます。
認知症の方はとくに、環境への不安が強く精神が不安定になりがちなのです。
「トイレいきましょう!行っておいた方がいいですよ!」なんて強引に案内すると余計に意固地になって行ってくれないことがあります。
たとえ、失禁があって衣類が汚れていたとしても、行きたくないものは行きたくないのです。
普段から信頼関係を築いておくことも大事ですが、声掛けを工夫することも求められます。
「トイレ」というキーワードに反応してしまうこともあるので、できるだけ言わないようにして立ち上がってもらうとか。
世間話をしながら「あ!せっかくだからトイレ寄って行きましょう」など、あくまでついでを装うだとか。工夫するようにしています。
便座がわからない・仕方がわかならい
トイレに入っても、トイレの仕方が分からなくなっている認知症の方もいます。
そんなときは丁寧な声掛けや動作で伝えます。
「まず、体をこちらに向けてください」
「手すりを持ちましょう」
「そのままの姿勢で、下着下ろすをお手伝いさせてもらいます」
「こちらに座ってください。」
声掛けで伝わらない場合は、ジェスチャーを交えます。
トイレの動作して行くうちに、認知症の方も認識ができてきます。今自分は何をしようとしているのかが認識できれば、抵抗なくスムーズに排泄できることもあります。
介護職員はそれらのサポートをするために側にいるのです。決して排泄物の処理だけではありません。
考えることで介護・介助が上達していく
排泄介助に限らず、ひとつひとつの動作を考えて行うことが介護技術の上達につながります。
トイレの動作にしても、相手に不快感を与えないようにするにはどうしたらいいか。手際よく行うためにはどんな準備をしたらいいかなど、考えてから介助するようになりました。
人によって身体状況が違います。排泄の動作を安全に行うにはどうしたいいかなど、考えることはたくさんあります。
排泄の状態や排泄の周期なども、観察する視点を持つようになりました。
もしかしたら、そうした視点や考えを持たないかぎり排泄介助はいつまでも苦手に感じるのかもしれないですね。
ぼくは割と早い段階で慣れてしまいました。
基本的なことがしっかりできていると、他のことも丁寧にできるようになりますし手際よくできるようになります。
その毎日の積み重ねが、利用者さんの心地よさを作っているのだと思って、
現場に出るようにしています。