介護施設で高齢者と仲良くなるために介護職員がコミュニケーションで意識していること
とにかく笑顔を絶やさないこと。
イライラした感情で接しないこと。
このふたつを意識しています。
むしろこのふたつを意識してれば、たいがいのことは解決するのではないかとさえ思っています。
もちろん他にも細かい技術みたいなことはあるのですが、とにかく「笑顔」と「穏やかな感情」がとても重要なんです。
ぼくはデイサービスで働いています。
デイサービスを利用する高齢者の方は、ほんとうにいろいろな方がいましてですね、
ご自身で何でもできてしまう自立度の高い方もいれば、認知症があって介助なしでは日常生活が厳しい方もおりまして。
身体能力や生活状況が違う上に、もちろん性格も違うわけです。穏やかな方もいれば、怒りっぽく愚痴っぽい方も当然います。
介護職員は、それぞれの利用者さんに対して上手に接していかなくてはいけません。
人によって態度を変えるのではなく、接し方を工夫するという意味です。
その上で大事になってくるのが「笑顔」と「穏やかな感情」なのです。くどいよですが、本当にいちばん大事だと思っています。
高齢者の気持ち・身体状況を考える
高齢者の方とのコミュ二ケーションは、どういうふうにしたらいいのか。
そのことを考える前にまず、高齢者を知ること・考えることからはじめたいと思います。
あくまでぼくが考える高齢者・デイサービスで接してきた高齢者の感想なので、ご自身の感覚も大事にしてくださいね。
話し方がゆっくり
まず、喋りがゆっくりです。
喋りがゆっくりということは、頭の回転もゆっくりだということです。
そりゃそうですよね。20代の喋り方と80代の喋り方が一緒なわけないですから。
でもたまに、早口な高齢者の方もいます。そういう方は大体、直前まで仕事をされてたり、積極的に運動しているなど、元気な方がほとんどです。
高齢者は年上であり人生の先輩である
いやね、可愛らしい高齢者の方もいるんですよ。
偉そうにしないし、可愛げがあってチャーミングで年齢を感じさせない高齢者の方。
ついつい、馴れ馴れしくしたりタメ口になっちゃったりするんですが、人生の先輩であることを忘れないように気をつけています。敬意を示して敬うことを忘れないようにしています。
足腰が弱ってきている
足腰が弱ってきているということは、心や精神的な部分も自信をなくしている可能性が高いってことです。
不安に感じていたり、焦りを感じたりしていると思うんですよね。
高齢者は耳が遠い
補聴器を使っている方がいたり、耳の隣で話しても、聞こえなかったりする高齢者の方もいます。
目が悪い
至近距離じゃないと、誰かわからないとか、表情がわからないとか、あります。
たとえば白内障がある利用者さんは、しろくモヤがかかったような見え方になっているため、高齢者との物理的な距離は気にした方がいいかもしれません。
集中力が切れるのが早い
長い時間、ひとつのことに集中できなくなっている方が多いです。
たとえば「脳トレ」「計算」「塗り絵」などは、だいたい30分くらいで飽きてしまってる印象があります。なのでコミュニケーションを取る時も、長話しないようにしたりして時間に気をつけています。
自分が話したい
相手の話を聞くよりも、自分の話をしたい高齢者の方が多いです。
これは男性・女性限らずですね。言い換えると、自分の話をしたいというよりも、相手のことに興味や関心を向けられなくなってきているということかもしれません。
認知症があってコミュニケーションに不安がある
介護職員の顔を覚えられなかったり、他の利用者さんのことを忘れてしまったり。
認知症によって、記憶や情報処理の能力が失われてしまっていることもあります。また感情の抑制ができなくなってしまって、急に怒り出したり・泣き出したりする方もいます。
なんか、ネガティブな要素ばかりになってしまったのですが、
言いたいことは、
- 高齢者を知ること
- 高齢者の感覚と自分の感覚を一緒にして考えないこと
このふたつがが言いたかったのです。
「なんで伝わらないの?」ではなく、
「どうしたら伝わるのだろう?」と考えなくてはいけないと思っています。
介護職員として高齢者とのコミュニケーションで意識していること
さて、ここからは高齢者とのコミュニケーション意識していること・工夫していることを具体的に紹介していきたいと思います。
ぼくが実際にデイサービスで利用者さんと話すときに気をつけいることです。
笑顔で話しかける
まず、目を合わせて笑顔で話しかけます。
これは「敵意はないですよ」という意思表示でもあり、高齢者の方に安心感を与えるためです。
高齢者の方は、身体的な能力の低下や老化によって日常生活に支障があったりなどして、心に不安を抱えています。
怖い顔で職員が近づいてきたらどうでしょう?
「わたし何か悪いことしたのかしら?」って思っても不思議ではないですよね。視力も低下していて耳も聞こえなくなってきていたら、余計に怖く感じてしまいます。
警戒心を解いてもらわなければ、高齢者から本音をひきだすことはできないと思います。
穏やかな感情のときに話しかける
介護職員だけでなく高齢者の方も、感情が昂っているときは無理に話しかけないようにします。
イライラした状態で話しかけてしまうと、感情と感情がぶつかり合っていいコミュニケーションは取れません。最悪、喧嘩や暴力てきなことに発展してしまいます。
忙しくて感情がイライラしているときは、話しかけないようにするか、深呼吸して感情を落ち着けてから話すようにしています。
また認知症のある方は、言葉の理解が難しくなっている代わりに、感情を敏感に感じ取る方が多い印象です。
イライラした感情の職員が近づいていくだけで、不穏な感情になる認知症の方もいます。
ぼくは感情のあり方に注意して、高齢者の方とコミュニケーションをとっています。
利用者さんの名前をきちんと呼ぶ
名前を覚えていることが、高齢者の安心感につながりますし、
誰に話しかけているかがはっきりするので、名前をきっちり呼ぶようにしています。
目線を合わせる
高齢者とは身長差あるため立ったままの姿勢で会話すると、どうしても見下ろす形なってしまいます。
片膝をついたり、しゃがんだりして目線を合わせてコミュニケーションをとっています。
後ろから話しかけない
高齢者限らず、後ろから話しかけられたり、後ろから肩を触られたりするとビックリしますよね。
必ず前に回り込んでから、声をかけるようにしています。
ゆっくり話す
しゃべるスピードがゆっくりということは、言葉を理解するスピードもゆっくりだということ。はっきり大きな声で、ゆっくり話すようにしています。
高齢者を敬い敬語を使う
利用者さんと仲良くなってくると、だんだんと言葉が砕けていきます。
関係性が出来上がっていいような気がしますが、周りには他の利用者さんもいますし、ご家族がみえたときに、馴れ馴れしくタメ口で話している介護職員をみかけたら、いい気分はしないでしょう。
利用者さんとして、高齢者・人生の先輩として敬うためにも、敬語を使うようにしています。
質問をして高齢者の方に喋ってもらう
人はだれでも、自分がしゃべりたいもの。とくに女性は話したい方が多いです。
介護職員がベラベラ自分のことを喋っているのは、もしかしたら高齢者の方は退屈に感じているかもしれません。
なので、高齢者の方に質問をして、話しをしててもらうようにします。
人は、自分の話を聞いてくれる人には信頼感や親近感・安心感を覚えます。
会話のセンテンスを短くする
「〇〇さん、きょうの予定をお伝えいしたいのですが、午前中にお風呂に入ってそれからお昼ご飯を食べて歯磨きをして体を動かすために散歩しにいってそれからおやつを食べて自宅に送っていきますね。」
もう、何が何だかわからないですよね。
- 「今日の予定をお伝えします」
- 「午前中にお風呂に入ります」
- 「お昼を食べます」
- 「歯磨きをします」
- 「散歩しに行きます」
- 「おやつは15時です」
- 「夕方自宅にお送りします」
箇条書きでもいいくらいです。
情報をいっぺんに伝えようとすると、高齢者じゃなくとも内容の理解が難しくなります。
センテンス(文節)を短く区切って話すようにします。
介護施設の利用者さん、高齢者とのコミュニケーションにおいて
介護職はコミュニケーションスキルが磨ける仕事
実際のところは、歳をとって高齢者になってみないとわからないですよね。正直。
それに歳の取り方も人によって違うわけですから。さらに言えば「100年時代」の高齢者はもっと元気かもしれませんし。
でも、相手の立場になって考えることは、どの時代においても大事なことだと思います。
介護職員はそうして思いやりや想像力・感性を磨いていかなくてはいけない職種だと思っています。
大体どの業界でも、コミュニケーションの不和から問題が発生していることが多く、コミュニケーションが上手い人は、問題の解決能力も高いと感じます。
介護職は、コミュニケーションスキルを磨けるいい仕事だと思います。