デイサービスの高齢者と仲良くなるために会話・コミュニケーションで意識していること

あなたは、高齢者の方と話すことは得意ですか?
高齢者の方と話すことは楽しいですか?
高齢者の方との会話・コミュニケーション能力って、介護施設の職員にとってとても大事なスキルです。
「おじいちゃん子だった・おばあちゃん子だったから、お年寄りをしゃべるのは得意」
そう思っても、介護施設きている高齢者は話しやすい方ばかりじゃありませんよね。
ぼくも一緒です。
「どうしたら仲良くなれるだろうか…」
そんなことをずっと考えながら、デイサービスで働いています。

こんにちは、のざき寿(ひさし)といいます。デイサービスの介護職員です。
「別に利用者さんと仲良くならなくても…介護の仕事はできる」
介護職はそういうわけにはいきませよね。
というのは、利用者さんとの会話の中から、介護のヒントを見つけていかなくてはいけないからです。
「最近、膝が痛くてね…」
「実は昨日、家の中で転んでしまってね…」
こうした利用者さんの本音を聞き出すことが、現場で働いている介護職員の仕事でもあります。
本音を引き出すには、利用者さんと仲良くなって人間関係の距離を縮めなくてはいけません。
また、現場で楽しく仕事をするには、利用者さんと仲良くなった方がいいですし、
身体介助の時も、立位を取ってもらったり自分の足で歩いてもらったり、できるだけ利用者さんに力を発揮してもらった方が介護負担が減りますよね。
そのためにはやはり、利用者さんとの普段のコミュニケーションが良好で意思の疎通ができていたほうがいいです。

介護職員なんだから、話が上手くて当然でしょ。
いやいや、そんなことはないですよね…
ぼくは今、デイサービスで働いています。
ぼく今40代なので利用者の皆さんが、
「今日は居るのね!こないだ居なかったでしょ!」
と、ぼくを目当てにデイサービスに来てくれる利用者さんが何名かいます。

自分で言うのもなんですが、ぼくは高齢者の方と接するのは得意です。
ですが、介護職を始めた頃は…沈黙ばかりで緊張しっぱなしでした。
この記事では、ぼくが意識している「高齢者の方と仲良くなるコミュニケーションのコツ」をお伝えしたいと思います。
高齢者の方とのコミュニケーションが苦手な方、よかったら参考にしてみてください。
高齢者は会話が大好きな方が多い

高齢者の方と、どんな話をしたらいいかわからない。

高齢者の方は話好きな方が多いです。
なので自分がしゃべるのではなく、高齢者の方にしゃべってもらうことを意識しましょう。
大前提として、
高齢者の方は「会話」が大好きです。ぼくはそう思っています。
ただ、高齢者が会話が好きと言っても…会話には種類があります。
- 自分(介護職員)が喋る会話
- 相手(高齢者)が喋る会話
介護職に求められるのはもちろん後者です。
高齢者の方は、ぼくの話はさほど聞きたくないと思っています。
要するに、高齢者の方が話すことに対して受け答えする「対話」の意識が大事だと思っています。
おそらく「何をしゃべっていいかわからない」と悩んでいる方は、先に自分のことを喋ろうと思っている方なんじゃないかなと思うんです。

自分のことは話さなくていいんです。
先に相手(高齢者の方)のことを聞きましょう。
では、どんなことを聞いていくといいのか、
具体的例を挙げながら解説していきますね。
高齢者の方に興味・関心を寄せる質問を用意しておく

高齢者の方にお話してもらうために、ぼくはある程度、質問を用意しています。
質問には大きく分けてふたつあると思っています。
- 誰でも答えられる一般的な質問
- その人にしか答えられない質問
- その人にしか答えられないより突っ込んだ質問
誰でも答えられる一般的な質問
- いいお天気ですね。
- 今日は何月何日ですか?
- そういえば、〇〇(ニュース)がありましたね
これらの質問は、誰でも答えられますよね。
相手も自分のことを話さなくていいので、気軽に答えることができます。
ぼくはこれらの質問を会話の入り口の使っています。
しかしこれらの質問だけで会話を進めてしまうと、高齢者の方との距離は一向に縮まらないいんですね。
いわゆる「アイスブレイク(緊張をほぐす会話)」です。
なので、ある程度会話が進んだら、個人的な質問に切り替えていきます。
その人にしか答えられない質問
- ご年齢はいくつですか?
- 昨日のご飯は何を食べましたか?
- 体調はどうですか?
これらの質問は、その人にしか分からない質問です。
相手に興味を持った質問をすることで、ちょっとづつ距離を縮めていきます。
この段階でも聞き役に徹するようにしています。まず、相手のことを引き出すことを意識しています。
その人にしか答えられないより突っ込んだ質問
- 今お困りのことはないですか?
- 過去にどんな仕事をしてきましたか?
- これからどうしたいですか?
これらのことって、初対面や再会したすぐに聞かれても…
あなたは、ベラベラと他人に話しますか?話さないですよね。
高齢者の方も一緒です。
なので、一般的な質問からはじめて、段階的に質問の質を変えていく必要があると思うんですね。
- ご年齢はいくつですか?
- 昨日のご飯は何を食べましたか?
- 体調はどうですか?
- いいお天気ですね。
- 今日は何月何日ですか?
- そういえば、〇〇(ニュース)がありましたね
- 今お困りのことはないですか?
- 過去にどんな仕事をしてきましたか?
- これからどうしたいですか?
ちょっとづつ、鎧を剥がしていくようなイメージです。
ぼくはこういったことを意識して高齢者の方と会話・コミュニケーションをとるようにしています。

あなたなりに、高齢者の方への質問の流れを作ってみてくださいね。
介護職員も自分のことを話して自己開示していく

途中まで話してはくれたんだけど….

高齢者の方が喋ってくれなくなったら…
そのタイミングで自分のことを話しましょう!
「膝が痛いのは、ずっと昔からなんだよね・・・」
そんな感じで、会話が途切れてしまうことがあります。
そんな時はすかさず、
「ぼくもね、今の年齢から健康に気を使っておこうと思ってね、運動するようにしてるんですよ」
みたいな感じで、会話の文脈に合わせた自己開示(自分のことを話すこと)をしていきます。
人間って、自分のことを見せない人を信用しないと思うんです。だから多少は自分のことも話す必要があると思っています。
注意したいことは…
「自分の話に夢中にならない」ことです。

自分の話をするのは、あくまでも高齢者の話を引き出すことが目的です。
自分のことを喋りすぎると、相手はしらけてしまいます…
高齢者に心配を投げかけるのは質問ではない
よく介護職員で見かけるのは…
「大丈夫ですか?」
「痛くないですか?」
「苦しくないですか?」
と、やたら心配ばかり投げかける介護職員がいます。
表面上は「相手を気遣って、優しい介護職員だなぁ〜」と思うかもしれません。
ごめんなさい…
何の意味があるんですか…
大丈夫じゃないから介護施設を利用しているわけで…
それらの声掛けって逆に「わたしって、そんなに体調悪そうなんだ…」という思考を助長させてると思うんですよね。
ならば、
「いつでも横になっていいですよ〜」
「一緒に歩きましょう〜」
「なんかあったら言ってくださいね〜」とさりげなく声をかけておく方がよくないですか?
どうですか?あなたは心配しすぎる介護職員になっていませんか?
高齢者とのコミュニケーションで意識している態度や所作

さて、質問の他にも、行動や所作についても意識しています。
質問力があれば高齢者と仲良くなれるのかといえば…
高齢者の方は同僚や友達とは違い、年齢や価値観がまったく違います。まだまだ気をつけていることはあります。
具体的な姿勢・行動・所作についても紹介していきたいと思います。
高齢者には笑顔で話しかける
まず、目を合わせて笑顔で話しかけます。

「ぼくはあなたの味方ですよ!」
ってうアピールでもあります。
高齢者の方に安心感を持ってもらう意識で笑顔で接します。
デイサービスや高齢者施設にきている利用者さんは、みんながみんな、来たくて介護施設に来ているわけではありません。
利用者さんの中には、介護職員に対して敵対心を持っている方もいます。
そんな方に、介護職員が敵意むき出しな顔で接しようものなら…暴力トラブルになったりします。というか、実際にありますし…
また、介護施設を長く利用しているからといって、利用者さんが介護職員の顔を覚えている保証はありません。
というのは、利用者さんの中には認知症の方もおられますし、他の介護保険サービスを使ったりして、いろんな介護スタッフと関わっているからです。
だからこそ、毎回初対面の気持ちで、笑顔で接するように心がけています。

怖い顔で介護職員が近づいてきたらどうでしょう?
「わたし何か悪いことしたのかしら?」って思っても不思議ではないですよね。視力も低下していて耳も聞こえなくなってきていたら…余計に怖く感じてしまいます。
警戒心を解いてもらわなければ、高齢者の方と仲良くなることはできません。
お互いが穏やかな感情のときに話しかける
感情が昂っているときは無理に話しかけないようにします。
それは、高齢者の方だけでなく、介護職員であるぼくもです。
どちらか一方がイライラした状態だと、感情がぶつかり合っていいコミュニケーションは取れません。最悪、喧嘩や暴力的なトラブルに発展してしまいます。
忙しくて感情がイライラしているときは…
話しかけないようにするか、深呼吸して感情を落ち着けてから話すようにしています。
また認知症のある方は、言葉の理解が難しくなっているかわりに、感情を敏感に感じ取る方が多いです。
イライラした感情の職員が近づいていくだけで、不穏な感情になる認知症の方もいます。
ぼくは感情のあり方に注意して、高齢者の方とコミュニケーションをとようにしています。
高齢者の方の名前をきちんと呼ぶ

「〇〇さん」
こんにちわ!
と、名前を呼んでから話しかけるようにしています。
名前を覚えてもらっていることが、高齢者の方の安心感につながると思っています。
大勢いる利用者さんの中で、介護職員は誰に話しかけているかがはっきりします。
ぼくはきっちり名前を呼んでから話しかけるようにしています。
ひざまずいて高齢者の方と目線を合わせて会話する
高齢者の方との会話は、身長差あるため立ったままの姿勢で会話すると、どうしても見下ろす形なってしまいます。
見下ろされると…威圧感ありますよね。圧迫感ありますよね。
なので、片膝をついたりしゃがんだりして、高齢者の方と目線を合わせてコミュニケーションをとるようにしています。
高齢者の方には背後から話しかけない
高齢者限らずですが…
後ろから話しかけられたり後ろから肩を触られたりするとビックリしますよね。
ましてや、利用者さんの方の中には、認知症の方・目の見えない方・耳が聞こえづらい方がいるんです。
介護職に慣れてくると、どんどんそういう所作が雑になってきます。
必ず高齢者の方の前に回り込んでから、声をかけるようにしています。
高齢者を敬い敬語を使う
利用者さんと仲良くなってくると、だんだんと言葉が砕けていきます。
関係性が出来上がっていいような気がしますが…
周りには他の利用者さんもいますし、ご家族が施設にいらした時に…
どうですか?馴れ馴れしくタメ口で話している介護職員をみかけたら…
いい気分はしないですよね。
人生の先輩です。お客様です。
当たり前のことですが敬語を使うようにしています。
高齢者の気持ちや身体状況を意識して会話する

介護施設を利用している高齢者の方とのコミュニケーションで、特別意識していることもあります。
介護施設を利用している高齢者の方は、
要支援か要介護状態の方しかいません。身体状況に不安があったり、精神状態が不安定だっりします。
また、認知症の方が多く利用されています。
ここからは、身体状況・精神状況を意識したコミュニケーションについてお伝えしますね。
高齢者に合わせた会話のスピードでゆっくり話す
高齢者の方は、全てがゆっくりです。
歩くことも・食べることも・会話のスピードも。
喋りがゆっくりということは、頭の回転もゆっくりだということです。
20代の喋り方と80代の喋り方が一緒なわけないですからね。
だからぼくらは、相手の会話のスピードに合わせたコミュニケーションを取る必要があると思っています。
たまに早口な介護職員がいますが…やっぱり相手のことを考えたコミュニケーションではないと思うねですよね。
けど、あまりにゆっくりすぎると「バカにしてるのか!」ってなりかねないので、程よいスピードで会話するようにしています。
足腰が弱ってきて体力が落ちてきている
足腰が弱ってきているということは、心や精神的な部分も自信をなくしている可能性が高い。
なので、できるだけポジティブな声かけを意識しています。
「大丈夫ですか」という声掛けではなく、「お変わりないですか?」という声掛けにしています。
些細なことですが、ぼくは「相手を元気づけたい!」という想いを伝えるようにしています。
一緒に散歩に出かけるなどして、身体機能の維持をしながらコミュニケーションをとるようにしています。
高齢者の方は耳が遠い・目が悪い
補聴器を使っている方がいたり、耳の隣で話しても、聞こえなかったりする高齢者の方もいます。
目が悪くて、至近距離じゃないと「誰かわからない」とか「表情がわからない」とかがあります。

「どのように声掛けしたら相手の負担が少ないか」を考えて、コミュニケーションをするようにしています。
会話のセンテンスを短くする

「〇〇さん、きょうの予定をお伝えいしたいのですが、午前中にお風呂に入ってそれからお昼ご飯を食べて歯磨きをして体を動かすために散歩しにいってそれからおやつを食べて自宅に送っていきますね。」
ぼくが何を言ってるか…わかりますか?
もう、何が何だかわからないですよね。
箇条書きにするとこんな感じです。
- 「今日の予定をお伝えします」
- 「午前中にお風呂に入ります」
- 「お昼を食べます」
- 「歯磨きをします」
- 「散歩しに行きます」
- 「おやつは15時です」
- 「夕方自宅にお送りします」
情報をいっぺんに伝えようとすると、高齢者じゃなくても内容の理解が難しくなります。
「12時になりました」
「食堂へ昼食を食べにいきましょう」
「今日の献立は、カレーライスです」
高齢者の方との会話は、できるだけセンテンス(文節)を短く区切って話すようにしています。
利用者さんは認知症があって会話に不安がある
介護職員の顔を覚えられなかったり、他の利用者さんのことを忘れてしまったり。
認知症によって、記憶や情報処理の能力が失われてしまっていることもあります。また感情の抑制ができなくなってしまって、急に怒り出したり・泣き出したりする方もいます。
「なんで伝わらないの?」ではなく、
「どうしたら伝わるのだろう?」と考えるようにしています。
文章を書くとコミュニケーション能力が磨かれる

ぼくは、介護業界に転職したすぐは、高齢者の方との会話が苦手でした…でも、
高齢者の方とのコミュニケーションに対して苦手意識が亡くなったのは、
「ありがとうね〜」と優しく声をかけてくださる利用者さんの存在でした。
どうしたらもっと仲良くなれるだろう。
どうしたたもっと本音や悩みを聞き出せるだろうと、伝えることについて考えて行ったんですね。
そのヒントになったのが、文章を書くことでした。
文章を書くことは読み手に何を伝えるかが大事です。文章を書くことで相手のことを想像する能力が磨かれていったんですね。
あなたも、文章を書いてみませんか?
ぼくは介護資格を活かしてデイサービスと介護ライターのWワークをしています。
介護資格を活かした書く副業でスキルアップ!仕事の幅を広げよう!
介護職はコミュニケーションスキルが磨ける仕事
実際のところ…
自分自身が歳をとって高齢者になってみないとわからないですよね。正直。
それに歳の取り方も人によって違うわけですから。それに「100年時代」の高齢者はもっと元気かもしれませんし。
相手の立場に立ってコミュニケーションを考えることは、どの時代においても大事なことだと思います。
介護職はそうしたコミュニケーション能力が磨ける素敵な仕事だと思うんです。
だから積極的に高齢者の方に話しかけて、自分を磨いていきましょう。
そして、高齢者の方との会話を楽しんで、介護職を楽しんでいきましょう!